commonplace 1
ドリーム小説 勢い良く靴に足を突っ込んでドアに手をかける。
、弁当」
手さげに入れられたそれを引っつかんで、玄関を飛び出した。




昨日見た地図を頭に浮かべながら、は爽やかな風の吹く街を走り抜ける。
やっぱり高校も陸上部かなと思いながら、予鈴の鳴る音と共に最後の角を曲がると、何人か抜かして校舎に入る。上履きに履き替え、靴を持参した袋に入れて職員室を目指した。
少々緊張しながら、扉を開く。
「失礼します。転入生の…」
「来たぞ、ロックオン!」
見知った声にきょろきょろと辺りを見回すと、奥の方から手招きされる。
「グラハムさ…エーカー先生」
眩いばかりの金髪をしたグラハムは教師用の椅子を回転させて、と向かい合った。
彼の横には茶髪の人が座っていて、同じようにを見る。
「ふむ、中々似合っているようだな」
「此処の制服可愛いですから」
「それは良かった。彼はディランディ先生、君のクラスの担任だ」
グラハムは横の茶髪の人を示した。
そのまま視線を動かして、は内心おおと思った。
グラハムと張り合えるほどの美形がこんなに身近にいるとは。
目の保養だと思ったの思考は女子高生として少し可笑しいかもしれない。
そんな事を考えていたは、グラハムに呼ばれてはっと我に返った。
「はじめまして。よろしくお願いします」




ディランディ先生の声にドアを横に引いて教室に入り、全員だろう視線を感じながら教卓の横で立ち止まって振り返る。先生が口を開こうとした所で、そっくりな声が教室に響き渡った。
!?」
「え、!」
「……アレルヤ、ハレルヤ!?」
周囲の視線がと、教室の後方で立ち上がった二人との間を行き来する。
「おー知り合いか」
それは丁度良かったと、ディランディ先生がアレルヤの横、教室の後方中央の席を示した。
「彼女は。仲良くするように」
よろしくお願いしますとは頭を下げた。




休み時間。片割れに促されて、ハレルヤはを無理矢理引っ張り出して屋上に向った。
屋上につくと、先に来ていたアレルヤはフェンスにもたれていた。
「うーん!きもちいー」
そう言って両腕を突き出して深呼吸をしたは、いきなりぺたんとその場に座り込んだ。
ぺちぺちと床を叩いて、ハレルヤ達も座るように促される。

お昼はここで食べてるの?
ううん、教室で
そっかー

、と呼べば、空を見上げていたはそのまま返事をする。
「…どうして僕らと同じ学年なの」
ハレルヤとアレルヤは十六歳、は十七歳の七月生まれ。
学年は当然違う。
「どうしてだと思う?」
「足ばっかで、学力足りなかったんじゃねーの」
勢い良くがハレルヤを見た。
「うわ、失礼。此処に入学できるぐらいの学力はあるよ」
「で?」
「まあ…って、授業始まる!?」
「ああっ、本当だ。次エーカー先生だよ」
が我先と立ち上がって、屋上を出て行く。相変わらず足だけは速いと思いながら、ハレルヤとアレルヤもその後に続いて教室に駆け込んだ。





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